特定健康診査
平成20年4月から、「高齢者の医療の確保に関する法律」にもとづき、生活習慣病の予防に主眼を置いた「特定健康診査」と「特定保健指導」の実施が、医療保険者に義務付けられました。
特定健康診査では、メタボリックシンドロームの概念に着目し、腹囲による「肥満」の状態と、血圧、血液中の脂質、血糖値により「メタボリックシンドローム判定」を行ないます。
同時に、生活習慣病発症・重症化の危険因子の保有状況により、適切な保健指導(「情報提供」、「動機づけ支援」、「積極的支援」)を実施するために、必要と判断される保健指導のレベルを医療保険者に対して報告しますので、医療保険者から「特定保健指導の利用券」が送付されましたら、ご自身の生活習慣改善のため、ぜひご利用ください。
メタボリックシンドロームとは?
肥満には脂肪がたまる場所により、「皮下脂肪型肥満」と「内蔵脂肪型肥満」の2つのタイプがあります。
「皮下脂肪型肥満」
皮膚の下にある組織に脂肪がたまるタイプの肥満です。おしりから太ももにかけての下半身に多く脂肪がつくため、洋ナシ型肥満 とも呼ばれています。
「内臓脂肪型肥満」
おなかの内臓まわりに脂肪がたまるタイプの肥満です。上半身に多く脂肪がつくため、リンゴ型肥満 とも呼ばれています。
この内臓脂肪が過剰に蓄積すると、血圧の上昇、血糖値の上昇、中性脂肪の増加やHDLコレステロールの減少という複合的な病態が生じます。
この一連の代謝を「メタボリック」と呼び、メタボリック症候群のことを メタボリックシンドロームと呼びます。
健康診査の結果の見方
腹囲・身体計測 | |
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腹囲 | 内臓脂肪量を判断する検査です。 男性は85cm以上、女性は90cm以上がメタボリックシンドローム判定における該当基準になります。 |
BMI | Body Mass Index(ボディ・マス・インデックス)の略で、体重(Kg) ÷ (身長(m))2 の式で算出する値です。18.5未満なら「やせている」、25.0以上が「肥満」と判定されます。 |
血圧 |
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収縮期血圧(最大血圧)と拡張期血圧(最小血圧)によって、高血圧かどうかの判断をします。 メタボリックシンドローム判定では、収縮期血圧は130mmHg以上、拡張期血圧は85mmHg以上で高血圧の疑いありと判定されます。 |
血中脂質検査 | |
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中性脂肪 | 糖分、飲酒などによって摂取された余分なエネルギーが、肝臓で中性脂肪に変化します。 中性脂肪は、食べ過ぎや運動不足が原因で増加し、動脈硬化を起こします。 |
HDLコレステロール | 善玉コレステロールとも呼ばれ、血液中の過剰なコレステロールを肝臓に戻す働きがあります。 |
LDLコレステロール | 悪玉コレステロールとも呼ばれ、この量が多いと血管内壁に蓄積動脈硬化を進行させてしまいます。 |
肝機能検査 | |
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AST(GOT) | AST(GOT)が高値の場合、心臓や筋肉などの臓器に障害の疑いがあります。 通常、ALTとASTを同時に調べて比較することで、肝機能の診断に役立てます。 |
ALT(GPT) | ALT(GPT)が高値の場合、肝臓障害の可能性があります。 原因疾患として、ウィルス性肝炎やアルコール性肝障害、肝脂肪などが考えられます。 |
γ-GT(γ-GTP) | 肝臓や胆道に障害があったり、ステロイドや糖尿病関連の一部の薬の服薬、脂肪肝などで上昇します。また過剰な飲酒でも増加します。 |
血糖検査 | |
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空腹時血糖 |
血液中のブドウ糖濃度を血糖と呼び、血糖値は、食後、食べ物の糖分が吸収されて一時的に上昇し、その後元に戻ります。 しかし、すい臓から分泌されるホルモンである「インスリン」の働きが悪かったり分泌量が少なかったりすると、血糖値が高い状態が続きます。 これを糖尿病といいます。 |
HbA1c | ヘモグロビンA1cと呼びます。過去1~2か月間の血糖の全体的な状態を反映する検査項目です。 |
尿検査 |
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糖尿病のスクリーニング検査である「尿糖」と腎臓の障害の程度をみる「尿蛋白」を測定します。 血糖値が上昇すると、尿に糖がもれ出てくるようになりますので、尿検査を行ないます。また腎臓に異常が生じると、蛋白が尿にもれ出てくるようになりますので、同様に検査します。 |